⑨-1 ケトン体とは?

糖質制限について調べていると「ケトン体」という言葉を聞いたことはありませんか?
「脂肪が燃えている状態?」「体にいいの?危険なの?」と、色々な情報があってよくわからないという人もいると思います。

ケトン体は、**糖質が少ない状況で体がエネルギーを確保するために使う“もう一つの燃料”**です。
正しく理解すれば、糖質制限や血糖値の話も、ぐっと理解しやすくなります。

この記事では、「ケトン体って結局なに?」という疑問を、初心者の人向けに、わかりやすく簡単に説明していきます。


この記事を読んだらわかること

・そもそもケトン体とは何か
・ケトン体が体内でどのように作られ、使われているか
・ケトン体と脂肪燃焼・血糖値の関係
・ケトン体とケトアシドーシスの違い
・ケトジェニックダイエットとの関係性


1. ケトン体とは何か

ケトン体とは、糖質が不足したときに肝臓で作られるエネルギー源のことです。
私たちの体は通常、主にブドウ糖(糖質)を使ってエネルギーを作っています。

しかし、

  • 食事の糖質量が少ない
  • 空腹時間が長い
  • 糖質制限をしている

といった状況では、ブドウ糖が不足します。

このとき体は、脂肪を分解し、その一部を肝臓で「ケトン体」に変えて利用します。
つまりケトン体は、**非常用ではなく「代替燃料」**のような存在です。

ケトン体には主に次の3種類があります。
・アセト酢酸
・β(ベータ)ヒドロキシ酪酸
・アセトン

このうち、実際にエネルギーとして多く使われるのがβヒドロキシ酪酸です。


2. ケトン体が作られる仕組み(肝臓の働き)

ケトン体は、肝臓だけで作られるという特徴があります。

流れを簡単に整理すると、

  1. 体脂肪が分解され、脂肪酸になる
  2. 脂肪酸が肝臓に運ばれる
  3. 肝臓で脂肪酸が変換され、ケトン体が作られる
  4. ケトン体が血液を通って脳や筋肉に運ばれる

ここで重要なのは、
ケトン体は「脂肪が直接燃えている」のではなく、肝臓で加工された形で使われているという点です。

脳は基本的にブドウ糖をエネルギー源としますが、
糖質が少ない状態では、ケトン体もエネルギーとして利用可能になります。


3. ケトン体と血糖値・脂肪燃焼の関係

ケトン体が使われている状態では、
血糖値が大きく上がりにくいという特徴があります。

理由はシンプルで、
・糖質摂取が少ない
・インスリン分泌が過剰になりにくい

という条件がそろいやすいためです。

その結果、
脂肪が分解されやすい環境が続くことになります。

ただし、
「ケトン体が出ていれば必ず痩せる」
「ケトン体=健康」
という話ではありません。

あくまで、**体がどのエネルギーを使っているかの“状態説明”**だと理解しておくことが大切です。


4. ケトン体と糖新生の違い

糖質が不足したとき、体が行う反応は一つではありません。

もう一つ重要なのが糖新生です。
糖新生とは、糖質以外(アミノ酸や乳酸など)からブドウ糖を作る仕組みです。

ポイントは、
・ケトン体:脂肪由来のエネルギー
・糖新生:糖を新しく作る仕組み

という違いです。

体は状況に応じて、
ケトン体を使う/糖新生で血糖を保つ
この両方をバランスよく使っています。


5. ケトアシドーシスとの違い

ケトン体を調べると、よく出てくるのが「ケトアシドーシス」という言葉です。
ここで混乱する人が非常に多いポイントです。

結論から言うと、
通常の食事や糖質制限で起こるケトン体の増加と、ケトアシドーシスは別物です。

ケトアシドーシスは、
・主に1型糖尿病など
・インスリンが極端に不足した状態

で起こる、医療的に緊急性の高い状態です。

一方、
健康な人が糖質を控えた結果としてケトン体が増える状態は、生理的な反応として知られています。

この2つを同じものとして語られている情報には注意が必要です。


6. ケトジェニックダイエットとの関係

ケトジェニックダイエットは、
糖質を大幅に制限し、脂質を多く摂ることでケトン体を主なエネルギー源にする食事法です。

医療現場では、
・難治性てんかんの食事療法
などで使われてきた歴史があります。

一方で、
一般の生活にそのまま当てはめる場合は、
栄養バランスや継続性を考える必要があるとされています。

ケトン体が出ているかどうかよりも、
「その食事が自分の体調や生活に合っているか」
という視点が重要です。

まとめ

ケトン体は、
糖質が少ないときに体が自然に使うエネルギー源です。

・肝臓で作られる
・脂肪由来のエネルギー
・血糖値が大きく上がりにくい

といった特徴があります。

一方で、
ケトアシドーシスとの混同や、
ケトン体=万能という誤解も多い分野です。

大切なのは、
体の仕組みを理解したうえで、自分に合う選択をすること
ケトン体は、その判断材料の一つとして捉えるのが現実的です。


参考資料・出典
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp
日本糖尿病学会
https://www.jds.or.jp
e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp

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