
健康診断や血液検査の結果で
**「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」**という項目を見て、
「これって何の数字?」「血糖値とは違うの?」と疑問に感じたことはありませんか。
空腹時血糖値は正常でも、HbA1cがやや高め。
あるいは「境界型」「要経過観察」と書かれていて、不安になった——
そんな人は少なくありません。
この記事では
ヘモグロビンA1cが「何を表す指標なのか」「どう読み取ればいいのか」を
理解できるよう整理していきます。
この記事を読んだらわかること
- ヘモグロビンA1cが何を測っている数値なのか
- 血糖値との違いと、なぜ両方が重要なのか
- 一般的に使われている基準値と判定の考え方
- HbA1cが高くなる主な理由
- 数値を見るときに知っておきたい注意点
1. ヘモグロビンA1cとは何か
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とは、
過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する指標です。
血液中の赤血球には「ヘモグロビン」というたんぱく質があり、
血液中のブドウ糖が多い状態が続くと、
このヘモグロビンに糖が結合します(=糖化)。
👉 血糖が高い時間が長いほど、糖と結びついたヘモグロビンが増える
この割合を数値化したものが、ヘモグロビンA1cです。
一時的な血糖値ではなく、平均的な状態を見るための指標
——ここが最大のポイントです。
2. 血糖値との違いと役割の違い
血糖値とHbA1cは、似ているようで役割が異なります。
- 血糖値
→ 測定した「その瞬間」の血糖の高さ
→ 食事・運動・ストレスなどの影響を強く受ける - ヘモグロビンA1c
→ 過去1〜2か月の平均的な血糖状態
→ 日々の変動に左右されにくい
そのため医療現場では、
「血糖値は点、HbA1cは線で見る指標」
という考え方がよく使われます。
どちらか一方だけではなく、
両方を組み合わせて判断するのが一般的です。
3. ヘモグロビンA1cの基準値の考え方
日本糖尿病学会などで広く使われている目安は、以下の通りです。
- 5.6% 未満:正常域
- 5.6〜6.4%:境界域(糖尿病予備群)
- 6.5% 以上:糖尿病が疑われる水準
※これは診断を確定するものではなく、
**「判断材料のひとつ」**として使われます。
また、すでに糖尿病と診断されている人の場合は、
治療目標として7.0%未満がひとつの目安として示されることが多い
(※年齢・合併症・体調などにより個別に設定されます)
👉 数字だけで良し悪しを決めつけないことが重要です。
4. ヘモグロビンA1cが高くなる主な理由
HbA1cが高くなる背景は、単純に「甘いものを食べたから」ではありません。
主に次のような要因が関係します。
- 食後高血糖が起きやすい食習慣
- 食事の内容に偏りがある(精製された糖質中心など)
- 運動量が少ない生活が続いている
- インスリンの働きが弱くなっている
- 体重増加や内臓脂肪の増加
特に見落とされやすいのが、
**「空腹時血糖値は正常でも、食後に大きく上がっているケース」**です。
この場合、
血糖値測定では問題が見えにくく、
HbA1cで初めて気づくことがあります。
5. 数値を見るときに知っておきたい注意点
ヘモグロビンA1cは便利な指標ですが、
万能ではありません。
次のような点には注意が必要です。
- 貧血の状態によって、数値が実際より低く出ることがある
- 赤血球の寿命が通常と異なる場合、正確に反映されないことがある
- 体質や年齢によって、同じHbA1cでも意味合いが変わる
そのため、
「HbA1c=絶対評価」ではなく、経過を見る指標
として捉えるのが基本です。
1回の検査結果だけで判断せず、
複数回の変化を見ることが大切です。
まとめ
- ヘモグロビンA1cは、過去1〜2か月の平均的な血糖状態を示す指標
- 血糖値とは役割が異なり、併せて見ることで意味を持つ
- 数値には一般的な目安があるが、診断や評価は総合的に行われる
- 高くなる背景には、食事・運動・体質など複数の要因が関係する
- 一度の数値に一喜一憂せず、変化を見る視点が重要
HbA1cは「怖い数字」ではなく、
自分の体の状態を知るための材料のひとつです。
正しく理解することで、落ち着いて次の行動を考えられるようになります。
▶ 次の記事
⑥ 糖尿病とはどんな病気?
→ HbA1cという数値が、なぜ医療現場で重視されるのかを「病気の仕組み」から理解できます。
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⑥-1 糖尿病1型・2型の違いを分かりやすく整理
→ HbA1cが高くなる背景が、インスリンの不足なのか、効きにくさなのかをタイプ別に理解できます。
⑦ GI値とは
→ 食後血糖値の上がり方の違いを知ることで、HbA1cに影響しやすい食事の特徴が見えてきます。
⑧ 人工甘味料とは
→ 血糖値を上げにくい甘味料の仕組みを知ることで、HbA1cとの関係を誤解なく整理できます。
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