
砂糖を使っていないのに甘い。
カロリーゼロや糖質オフと書かれた食品を選んだとき、原材料に出てくる「人工甘味料」という言葉に不安を感じたことはありませんか。
「血糖値は本当に上がらないの?」「体に悪いって聞いたけど大丈夫?」「糖質制限中に使っていいの?」という疑問を持つ人も多いと思います。
この記事では、日本の医療・栄養分野で広く共有されている知識をもとに、人工甘味料について整理します。
良い・悪いで決めつけるのではなく、判断材料として理解できることを目的にしています。
この記事を読んだらわかること
・人工甘味料とは何か、砂糖との違い
・糖アルコールと合成甘味料の違い
・人工甘味料が血糖値に与える影響
・安全性はどう考えられているのか
・糖質制限中にどう付き合えばいいのか
1. 人工甘味料とは何か
人工甘味料とは、砂糖以外で甘味をつける目的で使われる甘味成分の総称です。
多くは少量で強い甘さを感じるため、食品の糖質量やカロリーを抑える目的で使用されます。
日本では、食品安全委員会や厚生労働省が安全性を評価し、使用が認められたもののみが流通しています。
つまり、**「使われている=国の基準を満たしている」**という前提があります。
2. 人工甘味料の主な種類
糖質制限や低糖質食品を調べていると、
「人工甘味料」「糖アルコール」「ラカント」など、さまざまな言葉が出てきます。
人工甘味料はひとくくりにされがちですが、血糖値への影響や体内での代謝は種類によって大きく異なります。
整理するために、まずは大きく2つに分けて考えます。
糖アルコール
糖アルコールは、トウモロコシなどの植物由来のでんぷんから作られた糖を、発酵や加工によって甘味成分にしたものです。
人工的に合成された甘味料とは異なり、体内での吸収や代謝が穏やかなのが特徴です。
・エリスリトール
・キシリトール
・マルチトール
糖アルコールでも血糖値への影響は同じではない
エリスリトール
エリスリトールは体内でほとんど代謝されず、その多くが尿として排泄されます。
そのため、血糖値やインスリン分泌をほぼ上げないことが知られています。
糖アルコールの中でも、血糖値への影響が最も少ない甘味料です。
キシリトール
一部が肝臓で代謝されるため、血糖値の上昇は緩やかですが完全にゼロではありません。
摂取量が増えると、人によっては血糖値が上がることがあります。
マルチトール
マルチトールは糖アルコールのため「糖類0g」「砂糖不使用」と表示されることがありますが、体内で一部が吸収されるため、人によっては血糖値が上がることがあります。
表示だけで判断せず、原材料名を確認することが大切です。
ラカントは甘味料の成分名ではなく、サラヤ株式会社が販売している甘味料商品の名称です。
主な原材料は次の2つです。
・エリスリトール
・羅漢果(ラカンカ)エキス(植物由来の甘味成分)
ラカントは、血糖値をほぼ上げないエリスリトールをベースに、砂糖に近い甘さになるよう調整された商品です。
そのため、合成甘味料とは性質が異なり、
糖質制限中でも使われることの多い甘味料として位置づけられます。
ただし、主成分はエリスリトールのため、
摂りすぎるとお腹がゆるくなることがある点には注意が必要です。
合成甘味料
化学的に合成され、ごく少量で強い甘味を持つ甘味料です。
糖として吸収されないため、血糖値を直接上げないとされています。
・アスパルテーム
・アセスルファムK
・スクラロース
アスパルテーム
アミノ酸を組み合わせて作られた甘味料で、体内ではアミノ酸などに分解されます。
使用量が非常に少ないため、血糖値への影響は無視できる範囲とされています。
アセスルファムK
体内でほとんど代謝されず、そのまま排泄されます。
単体よりも、他の甘味料と組み合わせて使われることが多い甘味料です。
スクラロース
砂糖の構造を一部変化させて作られた甘味料で、体内ではほとんど吸収されません。
加熱に強く、加工食品によく使われます。
人工甘味料・甘味料の比較(血糖値・GI値・糖質制限の視点)
| 甘味料 | 分類 | 主な性質・作られ方 | GI値の扱い | 血糖値への影響 | 糖質制限との相性 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エリスリトール | 糖アルコール | 体内でほぼ代謝されず排泄 | 実質0 | ほぼ上げない | 非常に向いている | 大量摂取で下痢 |
| キシリトール | 糖アルコール | 一部が肝臓で代謝 | 低い | わずかに上がる場合あり | 量を守れば可 | 摂りすぎ注意 |
| マルチトール | 糖アルコール | 一部が分解・吸収 | やや高め | 人によって上がる | 控えめ推奨 | 表示に注意 |
| ラカント | 商品(エリスリトール+羅漢果) | 血糖値を上げにくい成分を配合 | 実質0 | ほぼ上げない | 非常に向いている | 摂りすぎ注意 |
| アスパルテーム | 合成甘味料 | アミノ酸由来 | GI値の概念外 | 上げない | 補助的に可 | 加熱に弱い |
| アセスルファムK | 合成甘味料 | 代謝されず排泄 | GI値の概念外 | 上げない | 補助的に可 | 後味のクセ |
| スクラロース | 合成甘味料 | 砂糖構造を改変 | GI値の概念外 | 上げない | 補助的に可 | 甘さが強い |
※ GI値は「糖質を含む食品」を前提とした指標のため、合成甘味料には厳密には当てはまりません。
甘味料と血糖値の関係をより深く理解するには、GI値という指標の考え方を知っておくと整理しやすくなります。
→ ⑦GI値とは?(食品や甘味料が血糖値に与える影響を、仕組みから分かりやすく解説しています)
3. 人工甘味料は血糖値を上げるのか
結論から言うと、一般的な摂取量で人工甘味料が血糖値を大きく上げることはないとされています。
糖アルコールの中でも、エリスリトールは体内でほとんど代謝されず、血糖値やインスリン分泌への影響がほぼありません。
合成甘味料も、糖として吸収されないため、血糖値に直接作用しません。
ただし、
「甘い味そのもの」による食欲刺激や、食行動への影響は個人差がある
この点は意識しておく必要があります。
4. 安全性はどう考えられているか
人工甘味料には、それぞれ**ADI(1日許容摂取量)**が設定されています。
これは「毎日一生摂り続けても健康に影響が出ない量」をもとに、さらに安全側に余裕を持たせた数値です。
実際の食品に使われている甘味料の量はごく少なく、特定の甘味料入り飲料を毎日何本も飲み続けるような生活でなければ、ADIを意識する場面はほとんどありません。
通常の食生活で摂取する範囲では、
ADIを超えることは極めて考えにくいとされています。
過度な不安よりも、摂取量と頻度を見る視点が重要です。
5. 糖質制限中にどう付き合うか
糖質制限中、人工甘味料は「使ってはいけないもの」ではありません。
一方で、砂糖の完全な代替として多用するものでもないという立ち位置が現実的です。
・甘味がないと続かない人の補助として使う
・飲み物やデザートを完全に我慢しないための手段
・毎日大量に摂る習慣にはしない
このように、目的と頻度を意識した使い方が、長く続ける上でのポイントになります。
まとめ
人工甘味料は、日本の一般的な医療・栄養ガイドラインの範囲では、通常の食生活であれば問題ないとされています。
安全性はADI(1日許容摂取量)をもとに評価されており、市販食品を常識的な量で摂る限り、過度に心配する必要はありません。
人工甘味料を使うなら、血糖値への影響が最も小さいエリスリトールが比較的安心して選ばれています。
ラカントなど家庭用甘味料の主成分としても使われており、糖質制限中の甘味料として使いやすい選択肢です。
一方で、合成甘味料やマルチトールなども「危険」というわけではありませんが、摂取量や頻度を意識することが大切です。
「ゼロか危険か」で判断するのではなく、自分の体調や食生活に合わせて付き合う視点が重要になります。
参考資料・出典
厚生労働省「甘味料に関する評価」
https://www.mhlw.go.jp
食品安全委員会「添加物評価書」
https://www.fsc.go.jp
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→ 糖質制限を続ける中で、意識しないと不足しやすい栄養素を整理し、体調管理の視点から解説します。
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⑦ GI値とは
→ 甘味だけでなく、食品全体が血糖値に与える影響を理解するための基本情報です。
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