⑥ 糖尿病とはどんな病気?

糖尿病という言葉は身近ですが、体の中で何が起きている病気なのかまで正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。「甘いものを控えれば大丈夫」「太っている人の病気」というイメージだけで捉えると、本質を見誤ってしまいます。

糖尿病は、血液中の糖(血糖)を調整する仕組みがうまく働かなくなり、高い血糖状態が長く続く病気です。その結果、一定量を超えた糖が腎臓で処理しきれず、本来は出ないはずの糖が尿に排出されることから「糖尿病」と呼ばれています。

このページでは、診断前の人や予備軍の段階でも理解しておきたい、糖尿病の全体像を整理します。


この記事を読んだらわかること

  • 糖尿病とは体の中で何が起きている状態なのか
  • 日本と世界で糖尿病の人・予備軍がどれくらいいるのか
  • 糖尿病の種類(1型・2型)と基本的な違い
  • 糖尿病になりやすい人・原因の考え方
  • 糖尿病になると何が問題になるのか、治る病気なのか

1. 糖尿病とは何が起きている病気か

食事からとった炭水化物は体内でブドウ糖に分解され、血液中に入ります。血糖値を一定に保つために働くのが、膵臓から分泌されるインスリンです。

健康な状態では、食後に血糖が上がるとインスリンが分泌され、糖は筋肉や肝臓などの細胞に取り込まれます。

糖尿病ではこの調整がうまくいかず、

  • インスリンが十分に分泌されない
  • インスリンが効きにくい

といった状態が続き、血糖が慢性的に高いままになります。

血液中に余った糖は、一定量を超えると腎臓で再吸収できなくなり、尿に糖が漏れ出します。この状態が続くことが、糖尿病という病名の由来です。


2. 日本と世界の糖尿病の現状

日本の状況

厚生労働省「国民健康・栄養調査」では、

  • 糖尿病が強く疑われる人:約1,100万人
  • 糖尿病の可能性を否定できない人(予備軍):約700万人

と推計されています(2022年調査)。

また、国際糖尿病連合(IDF)による推計では、日本の20〜79歳成人のうち、約8.1%(約897万人)が糖尿病とされています。

👉 診断レベルの糖尿病と予備群を合わせると、約1,800万人前後が糖尿病と関係していると考えられます。


世界の状況

国際糖尿病連合(IDF Diabetes Atlas 2023)によると、

  • 世界の糖尿病患者数(成人):約5億8,900万人
  • 成人の約9人に1人

さらに、

  • 約2億5,000万人以上が未診断
  • 血糖値が高めで将来のリスクが高い人は約6億人以上

とされ、糖尿病は世界的な健康課題となっています。


3. 糖尿病の種類(1型・2型)

糖尿病は大きく1型と2型に分けられます。

1型糖尿病

  • インスリンを作る膵臓の細胞が破壊される
  • 自己免疫が関与することが多い
  • 若年で発症することがある
  • インスリン治療が必須

2型糖尿病

  • インスリンが効きにくくなる(抵抗性)
  • 分泌量も徐々に低下
  • 遺伝的体質+生活習慣が重なる
  • 日本の糖尿病患者の大半を占める

4. 糖尿病になりやすい人・原因

糖尿病は生活習慣だけで決まる病気ではありません。次の要素が重なることで発症リスクが高まります。

  • 家族に糖尿病の人がいる(遺伝的体質)
  • 運動量が少ない
  • 体重増加・内臓脂肪の増加
  • 加齢(特に40代以降)
  • 男性は比較的早く、女性は閉経後に増えやすい

体質と年齢の影響が大きい病気であることが特徴です。


5. 糖尿病になると何が問題なのか

糖尿病で本当に問題になるのは、高血糖そのものよりも、その状態が長期間続くことです。

血液中に糖が多い状態が続くと、血管の内側が少しずつ傷つき、血管が硬く・狭くなりやすくなります。この変化は自覚症状がほとんどないまま進み、年単位で続くことで全身に影響が出てきます。

特に影響を受けやすいのが、細い血管が集まる場所です。

  • 目:糖尿病網膜症
    目の奥の細い血管が傷つき、血流が悪くなったり、もろくなって出血しやすくなります。進行すると視力低下や失明につながることがあります。
  • 腎臓:糖尿病腎症
    腎臓は血液をろ過する臓器ですが、細い血管が障害されることで老廃物をうまく排出できなくなります。進行すると人工透析が必要になることもあります。
  • 神経:糖尿病神経障害
    神経に栄養を送る血管の血流が悪くなり、手足のしびれ、感覚の鈍さ、痛みなどが起こります。小さなケガに気づきにくくなる点も問題です。
  • 血管:心筋梗塞・脳卒中
    動脈硬化が進み、血管が詰まりやすくなります。その結果、心臓や脳の血管が突然閉塞し、命に関わる病気につながります。

これらは突然起こるように見えても、背景には長年の高血糖による血管ダメージの蓄積があります。そのため糖尿病では、「今の数値」だけでなく、どれだけ長く良好な血糖状態を保てるかが重要になります。


6. 糖尿病は治る病気なのか

現在の医療では、糖尿病を完全に消す治療法は確立されていません。

ただし、特に2型糖尿病では、

  • 食事
  • 運動
  • 必要に応じた薬物治療

によって、血糖を良好に保ち、合併症を防ぐことは可能です。

糖尿病は、
「一生付き合うが、コントロールできる病気」
と位置づけられています。


まとめ

  • 糖尿病は血糖調整がうまくいかず、尿に糖が出る状態が続く病気
  • 日本では約1,800万人前後が糖尿病または予備群
  • 世界では約6億人規模の健康課題
  • 多くは2型糖尿病で、体質と生活習慣が重なることで発症
  • 正しい理解と管理で、将来のリスクは大きく下げられる



参考資料・出典

▶ 次の記事

⑥-1 糖尿病1型・2型の違いとは?
→ 糖尿病と一口に言っても原因や治療の考え方が異なる1型・2型の違いを整理し、自分が理解すべきポイントを明確にするための記事です。


▶ おすすめの関連記事

④ 糖質と血糖値の基礎
→ 糖質を摂取したあと体内で血糖値がどのように変化するのかを知ることで、糖尿病の仕組みや高血糖が問題になる理由が理解しやすくなります。

⑤ ヘモグロビンA1cとは?数値の見方と基準
→ 健診や通院でよく見るHbA1cが「過去の血糖状態」をどう反映しているのかを理解し、数値の意味を正しく判断するための記事です。

⑦ GI値とは
→ 同じ糖質でも血糖値の上がり方が違う理由を知り、食事選びや血糖管理を考えるための基礎知識として役立ちます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました